認知行動療法の効果と科学的根拠について
認知行動療法(CBT)を受けると、主に考え方(認知)と行動パターンが改善し、その結果、感情や生活の質(QOL)が向上します。
1. 認知(考え方)の変化
| 受ける前 | 受けた後 |
| マイナス思考やネガティブな認知や偏った思考にとらわれ、強い不安や抑うつに陥りがちです。 | 自分の思考パターンを客観的に知り、今までの思考や認知を柔軟かつ合理的な考え方にかえていく(認知の再構築)ことができるようになります。 |
2. 行動パターンの変化
| 受ける前 | 受けた後 |
| 不快な感情を避けるための不健康な行動をとり、問題解決から遠ざかっています。(転職回数、不登校、孤立、食べすぎ飲みすぎ、対人トラブルなど) | 新しい認知に基づき、建設的で健康的な行動パターンを実践できるようになります。問題解決能力と自己肯定感が向上します。 |
3. 感情・症状・生活の質の変化
- 気分の軽減: うつ気分や不安気分が緩和します。
- ストレス対処能力の向上: ストレスに上手に対処するスキルが身につきます。
- 生活の質の向上と再発予防: 日常生活の機能が向上し、治療で身につけたスキルにより症状の再発予防にも有効です。
科学的根拠(うつ病発症予防効果)の詳細
認知行動療法などの心理的介入は、症状の改善や再発予防に留まらず、うつ病の発症自体を予防する効果があることが、大規模な研究で示されています。
要約:この研究は、複数の既存研究データをまとめている非常に信頼性の高い論文です。認知行動療法などの心理的介入が、過去にうつ病を経験した、あるいはうつ病を発症するリスクがある成人に対して、うつ病の発症を予防する効果があることが明確に示されました。これは、CBTが単なる対症療法ではなく、長期的なメンタルヘルスの維持と予防戦略として有効であることを示す重要な証拠です。
引用:Psychological interventions to prevent the onset of major depression in adults: a systematic review and individual participant data meta-analysis. Cuijpers P, Noma H, Karyotaki E, et al. JAMA Psychiatry. 2019;76(8):799-809.
【最新研究では、うつ病の場合、CBTの平均セッション数は”10~16回程度”で効果が見られるとされ、多くの研究試験で10~12回の実施が標準となっています】
引用:A systematic review and meta-analysis of transdiagnostic cognitive behavioural therapies for emotional disorders.Carmen S & Birgit K.,
“Nature Human Behaviour” Published: 16 January 2024

